2014年3月15日土曜日

アイヌ語の表記について

 アイヌ民族は、文字を持たない民族でした。世界で文字を持たない民族はアイヌだけではありません。和人(この呼び方についても異論がかなりあるのですが、その説明は後日に譲るとして、当分の間「和人」という言葉を使わせてもらいます)も、支配階級が国を治めるために必要に迫られ、朝鮮や中国と交流する中で漢字を取り入れ公文書は漢文を使っていました。やがてカタカナやひらがなを作り出し、日本語をそのまま文字を使って記録することが出来るようになったのです。それも 大多数の人たちが文字を使うようになったのは明治以降、学校制度が確立してからのことです。アイヌだけが取り立てて文字を持っていなかったという訳ではありません。 

 アイヌ語の表記方法についてはいろいろな学者が考えて新しい文字を作るなど工夫を重ねていますが、この教室では、長年千歳方言の研究をされ、千歳地方のアイヌ語辞典まで編纂された、千葉大学の中川祐先生が使っている、カタカナとローマ字を使った表記法で学ぶことにします。これは北海道ウタリ協会(現アイヌ協会)でもこの方法に統一していますので何かと都合がいいということも付け加えておきます。
 しかし「ト」に小さな◯をつけて英語の「two」(2)のように発音させる表記法もかなりの人が使っていますので、さらにアイヌ語を勉強しようと志す人は別のテキストを使って勉強してください。


*発音の記号としてカタカナを使います。日本語にない発音 を表記するために考えだされた特別な表記をのぞき、50 音表で表される発音とカタカナはほぼ同じ発音です。
*アイヌ語の単語はローマ字で表記します。また、文法など を学ぶ時にローマ字表記は便利です。

 というと何を言っているのかわからなくなりますが、例えば英語で an apple  と書いてアナップルと読めと習った中学生時代を思い出してください。
 ku(私) ek(行く)と書いて ケクと発音します。
(ku- ek) 特に千歳方言では頻繁にこれが起こります。
 これを一つ一つ辞典に書いていたのではなんページあっても足りません。
 テキストなどでは、まずカタカナでどのように発音するのかが表記されています。
 その下に、それはどのような単語によって構成されているのかがローマ字によって表記されています。
 日本語訳が書かれている場合は、一つの文が3行にわたって表記されているので煩わしく思われるかもしれません。
 でも、なれてくるとそれがありがたく思えるから不思議です。

 単語では日本語とアイヌ語の大きな違いは、日本語の場合単語の構成単位である音節(花子という単語は、「は」+「な」+「こ」という3つに分けることが出来ます。これを「音節」と言います)のほとんどは、母音のみ、または母音(a.i.u.e.o)と子音(k.s.t.n.h.m.y.r.w.pなどのこと)が組み合わさって出来ていて、ンと発音する「n」を除いてはすべて音節の終わりは母音になっています。

 しかし、アイヌ語を含め外国語の音節は、子音+母音+子音というものが多く、カタカナだけでは表記できない場合があります。(英語で言えば stop, cap, dog) そのため、カタカナ表示も日本語表記とは違う工夫を必要とします。

 食べ物 aep  という単語を音節に分けると a+e+p   母音+母音+子音となり、最後のPはカタカナでどうも表記しにくいのです。そこで、これを小さな文字で書くこととしました。Pはプではなく「」   aep=アエと表記します。

ローマ字は、ヘボン式ではなく日本式で表記します。
chi =ち  chyu =ちゅ は使いませ ん。


その他でも違う物がありますので注意が必要です

ア行=a  i  (yで表す場合がある) u(wで表す場合がある)     e  o
カ行=ka  ki  ku  ke  ko
サ行=sa  si  su  se  so
タ行=ta  ci  tu (ツとは発音しません) te  to
ナ行=na  ni  nu  ne  no
ハ行=ha  hi  hu  he  ho
マ行=ma  mi  mu  me  mo 
ヤ行=ya   y(イと発音します)yu   ye(と発音します yo
ラ行=ra  ri  ru  re  ro 
ワ行=wa  we(と発音します)wo(と発音します
パ行=pa  pi  pu  pe  po
チャ行= ca (チャ)   cu(チュ)   ce(チェ) co(チョ)
ン=n
ガ行 バ行 ダ行のような濁音はありません
キャ キュ キョ 
シャ シュ ショ 
ミャ ミュ ミョ
リャ リュ リョ
ピャ ピュ ピョ も、ありません。


その他ここにない表記,例外がでてきた時はその都度説明します。

         テクンペ tekunp  手甲 手の甲をカバーする装飾品
 主に男性が、踊り、冬山に行く時などに使用した(手袋ではない)
これも、頭に巻くマタンプシと同様、娘さんが心を寄せる男性にプレゼントしたと言われています。もらった男性がこれを身につけるということは「私も愛しているよ」という意味を表したと言います。だから、こんなに手の込んだ刺繍を施してあるのでしょう。
  


 
 

 

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